CS放送のブロックノイズ(電波障害・電波干渉)を解決!

私は、この方法で、ブロックノイズを撃退しました。

(難易度が高いと思われる方は、業者に依頼しましょう。)

110度CS放送(スカパー)の一部のチャンネル(下記)が、DECT準拠方式のコードレスフォンやインターホンで使われる電波の干渉を受けて、ブロックノイズが発生したり、受信できなくなる場合があることが知られています。(他のチャンネルやBS放送は正常に受信できる。)

「DECT準拠方式のコードレスフォンやインターホン」は広く一般的に使われており、自宅で使用していなくとも、近隣のご家庭から干渉電波が届いてしまう場合があります。しかしご近所に「使うな!」とは言えないため、自宅の中での対策をするしか方法がありません。

ここでは、その対策を徹底解説します。

【電波干渉】とは

ここでは、スカパーの上記チャンネルに限った説明になります。

スカパーの衛星電波は、

  1. パラボラアンテナで受信され、
  2. 上記のチャンネルの場合、1.9GHz前後の中間周波数に変換されてアンテナケーブルの中心線(芯線)を流れ、(芯線を覆う被覆のうち金属製の部分は電波干渉を防止するシールド)、
  3. 途中、地デジ放送の電波と混合(混合器)されたり、
  4. 複数の箇所で受信するために電波を二分(にぶん)、三分(さんぶん)(分配器・分岐器)された後、
  5. 壁のアンテナコンセントへ到達し、
  6. さらにそこから、(3)で地デジ放送の電波が混合されている場合にはそれを分波(分波器)し、
  7. そこからチューナー・レコーダーなどの受信機に接続されます。

DECT準拠方式のコードレスフォンやインターホンで使われる電波の周波数もまた、1.9GHz付近なので、上記の経路のどこかシールドが不完全な箇所で、この電波が芯線に混入することが電波干渉の原因と考えられます。

【電波干渉が起きている場所】

CS放送対応アンテナケーブル(S5CFB・S4CFBなど。以下、単に「ケーブル」、または「アンテナケーブル」と言います。)は、外見上傷などが無ければ、シールドがきちんと機能していると考えて問題ないでしょう。

ケーブルに問題が無いとすれば、電波干渉が起きている場所とは、「ケーブルでは無い箇所」ということになります。

そのうち、「芯線が金属でシールドされていない箇所」が電波干渉の原因箇所と考えられます。

それらを一つ一つ、点検し、原因を潰していきましょう。

(1)パラボラアンテナ

「パラボラアンテナ」に関して、電波干渉の原因となり得る箇所は、「パラボラアンテナ」と「アンテナケーブル」とを接続する部分です。

ここは「防水型F型接線」というもので接続されていなければなりません。業者が工事してくれたもので、特に古いものでなければ大丈夫でしょう。アンテナが屋根の上に設置されているような場合は、素人が屋根に上ったりするのは大変危険です。他に問題が無いときに限って、業者に点検を依頼しましょう。

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防水型F型接線

 

パラボラアンテナが、安全に手の届く範囲にある場合は、「防水型F型接線」が正しく取り付けられているか、緩みは無いか、を点検しましょう。最低でも素手で回して緩まない程度には締め付ける必要があります。そうしないと、緩んだすき間から干渉電波が侵入する恐れがあるからです。必ず工具を使ってしっかり締め付けてください。

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工具

 

締め付け過ぎが心配な場合は、専用の「トルクレンチ」を使用します。

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トルクレンチ

 

(2)アンテナケーブル

次に「アンテナケーブル」を点検します。CS放送対応アンテナケーブル(S5CFB・S4CFBなど)を使っていて、外見に特に問題が無ければ、アンテナケーブル自体には問題が無いと思って差し支えないでしょう。

問題は、その両端の「コネクター」です。

「コネクター」には、「F型接線」を使用する必要があります。

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F型接線

 

 

雨に濡れる恐れのある場所には、「防水型F型接線」を使用するか、「(分配器などに付属する)防水キャップ」を必ず取り付けます。防水性能自体は、電波干渉に直接関係ありませんが、水に濡れて錆びることでシールド性能が劣化する恐れがあります。

ネクターの取り付けも、専門の業者が行っていれば問題ないでしょう。

素人が工事を行う場合でも、リングをしっかり「かしめる」などすることで、シールドが破れない(金属被覆が完全に連続する状態を保つ)ことが重要です。

ネクターの種類については、注意が必要です。

「コネクター」に「プッシュプラグ型(差し込み式)コネクター」や「L字型アダプター」を使用している場合があるかもしれませんが、筆者の実験した限りでは、これらは電波干渉を完全に防ぐことはできません。

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L字型コネクター

 

特に、「樹脂(プラスチック)製」の「プッシュプラグ型(差し込み式)コネクター」の場合は、製品のフタを開けると「芯線のシールドがテキトー」なものがあり、この近くでインターホン子機を使用すると、激しいブロックノイズ(電波干渉)が発生しました。樹脂(プラスチック)にはシールド効果はありません。

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樹脂製プラグ

 

「金属製」の「プッシュプラグ型(差し込み式)コネクター」の場合でも、その付近でインターホン子機を使用すると、若干のブロックノイズ(電波干渉)が発生しました。おそらく、「締め付けが弱い状態と変わらない」ということなのでしょう。電波はほんのわずかなすき間でも侵入できるようです。

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金属製のプッシュプラグ

 

「金属製」の「L字型アダプター」については、両端を工具を使ってしっかり締め付けても、その付近でインターホン子機を使用すると、若干のブロックノイズ(電波干渉)が発生しました。干渉電波が混入するのです。ということは、製品の構造上、どこかにシールドが不完全な箇所が存在するのでしょう。筆者の手持ちの3種類の「金属製」の「L字型アダプター」で試してみましたが、いずれも同じ結果でした。

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金属製のL字型アダプターとプッシュプラグ

 

「筆者の知る限り」では、「F型接線」以外では電波干渉を完全に防ぐことはできないようです。

また、「F型接線」であっても、ネジの締め付けが緩い(素手で何とか回せる程度)場合は、その付近でインターホン子機を使用すると、若干のブロックノイズ(電波干渉)が発生しました。工具を使って素手で回せない程度に締め付けを強めると、ブロックノイズは無くなりました。

「F型接線」の「ネジの締め付け」を、素手で回せない程度にしっかり締め付けることが重要です。すべての「F型接線」について、点検する必要があります。

(3)混合器

地デジ・衛星の電波を1本のケーブルで伝送して配線をすっきりさせるために、衛星放送の電波と地デジ放送の電波とを混合するのが「混合器」です。混合器を使用する場合は、混合する地デジのアンテナケーブルにも、干渉電波が混入しないよう、同様の対策が求められます。地デジアンテナから混合器までの間について、同様の点検を行います。

なお、地デジケーブルの干渉対策の簡易的な方法として、「分波器」が使えるかもしれません。分波器を通すことで、地デジのケーブルを伝わる電波が地デジの周波数の範囲に完全に限定することができるのなら、簡易的な対策として有効かもしれません。(実験してないので、各自の責任でどうぞ)

完全を目指す点検項目は、次の通り。

  • 混合されるすべてのアンテナから混合器までのシールドに問題は無いか。
  • 混合器への接続は「F型接線」か。締め付けは緩くないか。
  • 混合器自体のシールドは完全か。

混合器自体のシールドが完全かどうかを点検する必要があります。「4K・8K対応」の製品なら問題ありませんが、古い製品だとシールドが不完全なものがありそうです。樹脂製のものは怪しく、芯線がむき出しになっているようなものは論外です。混合器への接続は、もちろん、「F型接線」を使用します。

(4)分配器・分岐器

「分配器・分岐器」は、アンテナで受信した電波を複数の部屋や機器で分け合うためのものです。

これらも、機器については、(3)混合器と同様の点検が必要です。

  • 分配器・分岐器のシールドは完全か。
  • 分配器・分岐器への接続は「F型接線」か。締め付けは緩くないか。
  • 分配・分岐された後のすべてのアンテナケーブルから終端までのシールドに問題は無いか。

「分配器・分岐器」の場合は、分配・分岐して枝分かれした他方のルートで混入した電波が、ケーブルをさかのぼって衛星側のケーブルに電波干渉を及ぼす可能性があります。なので、分配・分岐した他方のルートの終端までの間のシールドが完全かを点検しなければなりません。

集合住宅で、他の住人の部屋に分配・分岐されている場合には、この項目を点検することは実質的に不可能なので、自分の部屋用の専用のアンテナを設置するしか方法がありません。

なお、受信機がつながれていない端子で終わっている場合には、「F型終端抵抗器・ダミー抵抗」と呼ばれるものを、工具を使ってしっかり取り付けます。

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F型終端抵抗器・ダミー抵抗

 

(5)壁のアンテナコンセント

「アンテナコンセント」は、最近取り付けた新しいもの以外は点検する必要があるかもしれません。特に、コンセントの目に見えない壁の内部の構造が、「芯線がむき出しに接続されている」コンセントの場合は、そこで電波干渉が起きている可能性があります。

「アンテナコンセント」の接続部分は、壁のアンテナコンセントを取り外して見てみないとわかりません。100Vの電源コンセントと一体型でない限り感電する危険はありませんから、+(プラス)ドライバーを使って分解に挑戦してみましょう。もし、-(マイナス)ドライバーを使うタイプの場合は、古いものが使われているかもしれません。

(6)分波器

(3)の「混合器」で地デジの電波と混合されている場合には、受信機の直前で「分波器」を使って、衛星の電波と地デジの電波を分けます。「分波器」の点検項目も、(4)分配器・分岐器と同様です。

  • 分波器のシールドは完全か。
  • 分波器への接続は「F型接線」か。締め付けは緩くないか。
  • 分波されるすべてのアンテナケーブルから終端までのシールドに問題は無いか。

(7)チューナー・レコーダーへの接続

最後に、チューナー・レコーダーへの接続ですが、こちらもF型接線を使用して、ネジをしっかり締め付ける必要があります。

(8)地デジのアンテナケーブルの点検

受信機(チューナー・レコーダー)によっては、受信機の内部で地デジ・衛星の2つの電波が相互に干渉するものがあります。地デジのケーブルをBS・CSの入力端子へ接続し、衛星のケーブルを地デジの入力端子へ接続した場合に、いくつかのチャンネルが正常に映るような場合、地デジケーブル側で混入した電波干渉が、受信機内部で、衛星の電波に干渉する可能性があります。

このような受信機を使用する場合は、地デジのアンテナから受信機までの間でシールドが完全か、点検する必要があります。

私は、この方法で、ブロックノイズを撃退しました。